国際障害者交流センター(ビッグ・アイ)は、障がいのある方も、ない方も、
すべての人にご利用いただける施設です。障がい者が主役の芸術・文化・国際交流活動の機会を創出し、
障がい者の社会参加促進をめざします。施設内には、多目的ホールや研修室、宿泊室、レストランを備えています。
お知らせ
2022.05.02
リレーコラム
ビッグ・アイリレーコラムVol.8 「『失敗』という体験とその未来」
北山 達(きたやま いたる)
『失敗』という体験とその未来
今回、リレーコラムを書かせていただきます国際障害者交流センター(ビッグ・アイ)業務課就労支援グループの北山達(きたやまいたる)です。
国際障害者交流センター(ビッグ・アイ)での職場体験プログラムについて紹介させて頂きます。
ビッグ・アイの職場体験プログラムは、支援学校や障がい者支援事業所などの障害者手帳を取得されている方を主な対象に、客室清掃やフロントやレストランなどで職場体験をしていただいています。
このプログラムの1日のタイムスケジュールは9:00~15:00(休憩13:30~14:15)の6時間の体験となっていて、基本の流れは、午前中は就労支援のスタッフとペアになり、ホテル客室で掃除機かけ、雑巾かけ、備品の補充や整理整頓、お風呂掃除、ベッドメイクなどの客室清掃を行います。午後からはホテルフロントで軽作業や電話の取次ぎや接客の体験、レストランでは、ホール内の清掃やテーブル拭き、整理整頓、そして、「いらっしゃいませ」「ありがとうございました」に始まる接客などを体験します。
体験生の多くは、基本、平日の5日間を1プログラムとして体験しますが、体験日数は長い方で1ヵ月以上、短い方では1日と、体験生の要望や状況に合わせて日数を調整します。
そして、体験最終日に体験生には体験期間の感想や今後の思いなどお聞きし、共に体験を行った就労支援のスタッフからもアドバイスなどをお伝えさせています。また、支援学校の先生や施設の就労支援担当者を交えて体験全体を通しての評価や課題等を伝え、今後の就労支援に役立ていただいています。
プログラムに参加される体験生は、将来、清掃業などへの就職を念頭にしている方や、ホテル業に興味のある方、また、自分はどのような職業が向いているかを確かめたい方など、多岐にわたります。そのため、体験生の特性や要望に沿った作業内容を提供できるよう心掛けています。
例えば、作業手順を変更したり、通常の一工程を分解し、できること、今は難しいことなどに分けて、訓練生自身もどこまでできているか自覚できるようにしたりしています。また、時には作業手順や方法を「どうすればできるか」、体験生と一緒に考えたりもしています。
体験生からよくある質問で、『失敗した時はどうしたらいいですか?』というのがあります。いずれ様々な職場で働かれることから、「失敗したら、まず『すみません』と謝りましょう。そして失敗した原因について、わからなければ素直に聞いて次に活かしていきましょう」とアドバイスしています。
故意に物を壊したり、応対するスタッフによって態度を変えたりと、就業にふさわしくない行為はいけませんが、作業のミスや指示の取り違いや確認不足などを、仕事を始めて誰もが体験する、いわゆる「失敗」ということを、ビッグ・アイの体験していただければと思っています。
起こってしまった事案を自分で振り替える“ちから”、どのようにしたら同じミスや間違いをなくせるか考える“ちから”、そして、相談したり聞いたりできる“ちから”をビッグ・アイの職場体験で、今後、就労を目指すためには、必要と感じていただければと思っています。
2021年度は63人の方が体験し、開始しました2014年からですと674人が体験していただいています。その方々がその後、どんな仕事に就かれ活躍されているかは、多くの場合、知ることはありません。短い時間でありますが、たったひとりで通勤電車にのり、それまで知り合いでもないスタッフに囲まれ、やったこともない作業、そして、経験したことがない言い知れぬ緊張感など、ビッグ・アイでの体験は学校や施設では決してできない体験と思っています。
私の期待ですが、ビッグ・アイの体験が思い出として残り、体験生の将来に少しでも役に立てばたいへんうれしいと思っています。
ビッグ・アイはこれからもこのプログラムを多くの方に体験していただけるようスタッフ一同、日々、たゆまぬ実践を重ねプログラムを充実させています。もし、ご興味があれば見学や相談だけでも構いませんので、就労支援担当北山までご連絡ください。
次回のコラムはビッグ・アイの多目的ホールの運営をしていただいています株式会社ハートスの谷さんにバトンタッチです。
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