国際障害者交流センター(ビッグ・アイ)

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国際障害者交流センター(ビッグ・アイ)は、障がいのある方も、ない方も、
すべての人にご利用いただける施設です。障がい者が主役の芸術・文化・国際交流活動の機会を創出し、
障がい者の社会参加促進をめざします。施設内には、多目的ホールや研修室、宿泊室、レストランを備えています。

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ビッグ・アイリレーコラムVol.7 「新しい挑戦へ向けてチャレンジする方法」:床次 佳浩

ビッグ・アイリレーコラムVol.7 「新しい挑戦へ向けてチャレンジする方法」

床次 佳浩

新しい挑戦へ向けてチャレンジする方法

 

 いま、毎月10万円をもらう「ベーシックインカム実験」へ参加しています。ベーシックインカムとは、政府が全国民に対して最低限の生活を送るために必要な決められた金額を定期的に支給する政策です。
 それは17年前、「面白いしゃちょー」で有名になった、堀江貴文さんが主宰する「堀江貴文イノベーション大学校」の試みで、現在、私を含め5人がその実験に参加しています。10万円をどのように使い生活していくのか、その状況を同大学校のホームページで毎月公開していくものです。

 今回は、そのベーシックインカムを使い、新たなことをはじめました。それは、東京音楽大学の社会人講座「指揮研修講座」の受講でした。クラシック音楽のオーケストラでとても重要な「指揮」を学び、118日、東京音楽大学の学生有志が不定期で集まるオーケストラ「マスタークラス」の授業で指揮させてもらいました。
 曲名は、アントニン・ドヴォルザーク作曲「交響曲第8番 ト長調 Op. 88」。初めての指揮に緊張しながら、指揮台の上へ進む。私の指揮により、演奏が始まると楽器の音が振動として、全身の肌に響く感覚がとても神秘的であり、私の意思で一流の音楽を志す演奏家が演奏する、これまでに体験したことがない貴重な体験でした。

 私にとって、音楽はもうひとつの生き方を教えてくれるものでした。5才からピアノを習い、10才のときに脳の病気により右手と右足がマヒに。一度あきらめた音楽ですが、左手だけでもピアノを演奏できることを知り、身にふりかかる苦しみを乗り越え、もう一度ピアノを弾き始めました。それは私にとって大きなチャレンジで、今回のはじめて振る「指揮」も音楽の中で生きていく新たなチャレンジでした。

 「誰もが音楽を楽しめる」ということは様々なところで始まっています。
 以前、落合陽一(筑波大学准教授)さんと日本フィルハーモニー交響楽団がコラボレーションした「耳で聴かない音楽会」もそのひとつです。
 私もその音楽会を聴きに行ったのですが、偶然、そこでウェアラブルデバイス「ORCHESTRA JACKET(オーケストラ・ジャケット)」を着る機会を得ました。「ORCHESTRA JACKET(オーケストラ・ジャケット)」とは20個以上の振動スピーカーと低域を補うためのスピーカー「サブウーファー」が指揮者の着る燕尾服に装着されていて肩から背中、そして腕あたりまで、振動と低音で音楽を聴く、まるで指揮台でオーケストラを聴く感覚そのものでした。このシステムは、聴覚障がい者のかたにも音楽を楽しんでもらうものですが、音楽に包み込まれる感覚は、今回、私が東京音楽大学で指揮台に立ったのと、とても近いものでした。

 この試みも、「もし、障がいがあったら、音楽を楽しめないだろう」という思い込みから脱却するもののひとつであり、聴覚障がい者のかたにとって、『音楽を聴く』という新たなチャレンジができる場になると思っています。

 チャレンジとは、自分で行動するものと思っています。たとえ、車イスに乗っていようが、ベッドに寝たきりになっていようが、「これをする!」と思い、行動することで、未来が変わるものと思っています。

私も、行動することにもがき苦しむ時期もありました。しかし、今回「ベーシックインカム実験」というチャレンジで少しずつ将来の夢に近づいたと思っています。
 今、思えば10年前、ビッグ・アイで演奏した経験もそのひとつかもしれません。

 私は、これからも好奇心を持ち続け、さらなる新しい挑戦へどんどんチャレンジしていきたいと思っています。実は、好奇心を持っていると自然と運が良くなっていくという興味深い研究もあります。好奇心を持ち、実際に行動するのは自分自身ですが、未来のの選択肢が増えていくよう、これからもたくさんの挑戦をしていきたいです。

 次の執筆者は、ビッグ・アイで障がい者の職場体験のトレーナーをされている北山達(きたやま いたる)さんです。

 なお、東京音楽大学で指揮をした模様は、堀江貴文イノベーション大学校のホームページで(http://salon.horiemon.com/)公開中です。

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