国際障害者交流センター(ビッグ・アイ)は、障がいのある方も、ない方も、
すべての人にご利用いただける施設です。障がい者が主役の芸術・文化・国際交流活動の機会を創出し、
障がい者の社会参加促進をめざします。施設内には、多目的ホールや研修室、宿泊室、レストランを備えています。
お知らせ
2022.01.13
リレーコラム
ビッグ・アイリレーコラムVol.6 「可能性へのチャレンジ」
桃山学院大学
名誉教授 石田 易司
可能性へのチャレンジ
ビッグ・アイの事業にはいくつかの大きな特徴があります。ビッグ・アイの事業を言葉で表すと「国際」「芸術」「防災」などが浮かんできます。よく考えると、必ずしもそうではないのでしょうが、これらはずっと障がい者にとって苦手とされてきた分野です。もちろん障がいによって、あるいは一人ひとりにとって得意か苦手かは異なるのでしょうが、移動が苦手な障がい者にとって、海外と交わることは難しいことの一つでした。大災害時には一般人より障がい者が大きな比率で命を絶たれるのは統計の数字が示しています。
ビッグ・アイがその苦手な部門を事業の中心において開設されたのは、障がい者の可能性を広げるためにチャレンジするという意味があったのだと思います。
私は、最近世間のニーズが拡大し、ブームとまで言われている「キャンプ」を専門にしてきました。日本で最初に障がい者のキャンプが実施されたのは、1953年、瀬戸内海の小島で行われた肢体不自由児のキャンプです。朝日新聞と神戸YMCAが1週間のキャンプを実施したのです。その時参加した片岡實さん(社会福祉法人ひょうご障害福祉事業協会理事長)は、当時9歳で学校へも行けず、外出するのは病院へ行く時くらいという脳性麻痺の少年でした。その彼が、お父さんもお母さんもいない離島で、1週間もの間テントで過ごしたのです。
そして、大人になって障がい者福祉を仕事にした片岡さんは、あの時キャンプに参加しなかったら、大学で福祉を学ぶことはもとより、親からの自立も出来なかっただろうと回想されています(キャンプブックレット『小西孝彦さんに学ぶ』 2016年大阪府キャンプ協会発行)。
障がい者福祉の歴史は、このように冒険して可能性を広げていくことでノーマルになっていったのだと思います。ビッグ・アイのこれからのチャレンジに大いに期待しています。
次の執筆をお願いするのは「左手だけでもピアノは弾ける」と桃山学院大学やビッグ・アイ。そして、全国各地で演奏をされている床次 佳浩(とこなみ よしひろ)さんです。
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