国際障害者交流センター(ビッグ・アイ)は、障がいのある方も、ない方も、
すべての人にご利用いただける施設です。障がい者が主役の芸術・文化・国際交流活動の機会を創出し、
障がい者の社会参加促進をめざします。施設内には、多目的ホールや研修室、宿泊室、レストランを備えています。
お知らせ
2021.08.18
リレーコラム
ビッグ・アイリレーコラムVol.1「障害者の働く環境の変化」
国際障害者交流センター(ビッグ・アイ)
館 長 愼 英 弘
新型コロナウィルス感染症の蔓延が、障害者の働く環境に大きな影響を及ぼしています。それは、在宅勤務が増えていることです。
ノーマライゼーションの理念は世界中に広まり、日本でもほぼ定着しているといえます。その基本的考え方は、障害のある者とない者とが共に生きる社会を実現させるというものです。たとえば、障害者と健常者とが同じ場所で働くことが挙げられます。
障害者のなかには、公務員になったり企業に就職したりして、健常者と共に働きたいと願っている者がいます。しかし、雇用する側は、障害者にできる仕事はない、障害者の雇用を想定した職場環境にはなっていないなどとして、長い間、障害者の雇用を拒んできました。
このような状況を打開するために、障害当事者や支援者等が、障害者の雇用の実現を粘り強く働きかけてきました。その結果、障害者の雇用に関係する法律が制定されたり、社会の人々の意識改革が進んできたりしました。そして、障害者と健常者とが共に働く状況が各地で見受けられるようになってきました。しかし、新型コロナウィルス感染症の蔓延は、その状況を一変させてしまうかもしれません。
新型コロナウィルス感染症の蔓延を防止する方法の一つとして、職場が密にならないようにリモート、すなわち在宅勤務の方法が多くの職場でとられています。感染症の蔓延を防止するためにはいたしかたがないともいえますが、共に働くことを願っている障害者にとっては、ノーマライゼーションの後退ともいえる状況になります。
新型コロナウィルス感染症が収束した後に、共に働く職場環境に戻るかどうかはだれにも判りません。安直に障害者の在宅勤務を推し進めるのではないかとの危惧があります。このコロナ禍が職場においてのノーマライゼーションを崩壊させないことを、切に願うしだいです。
私が次にコラム執筆をお願いするのは、国際障害者交流センター業務課長の飯島秀司さんです。
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