国際障害者交流センター(ビッグ・アイ)は、障がいのある方も、ない方も、
すべての人にご利用いただける施設です。障がい者が主役の芸術・文化・国際交流活動の機会を創出し、
障がい者の社会参加促進をめざします。施設内には、多目的ホールや研修室、宿泊室、レストランを備えています。
お知らせ
東京オリンピック・パラリンピックを機に考えること
ノーマライゼーションの考え方が知られるようになっておよそ半世紀になる。この考え方が普及するにつれて、障害者に対する社会の人々の接し方や支援活動が、画期的に変わってきていることは、だれも否定し得ないだろう。現に、明暗すらも判らない視覚障害者である私は、それを日々実感している。交差点をわたるときには周りの人が声をかけてくれたり、電車に乗ろうとするときには一般の乗客が手助けをしてくれたりする。これらの行為は、障害者に対する理解が深まったからであろう。しかしながら、全ての人が、障害者等に対する理解を深めているわけではない。それは、昨今の状況をみれば明らかである。
このたびの東京オリンピック・パラリンピック大会の開催にあたって、大会を運営する関係者が辞任したり解任されたりしている。その理由は、身体的特徴に対する揶揄ともいえる表現をしたり、障害者に対して虐待ともいえるいじめをしたりしたことの発覚等である。
障害者のなかには、いじめや差別や虐待を受けた経験のある者が少なくない。この私も、目が見えないことでいじめられたことがあり、たいへん悔しい思いをしたことがある。障害者をいじめたり差別したり虐待したりする者は、それが遊びだとかゲームだとか言うかもしれないが、されている側の障害者がどれほど傷つけられたり悔しい思いをしたりしているかなど、想像したり反省したりしたことがあるのだろうか。
障害者に対するいじめ等で、オリンピック・パラリンピック大会運営の関係者が辞任したり解任されたりしたのは、誠に残念なことである。今回のことは、絶対悪ということはあるにしても、時間的な経過や時代による意識のちがいがあり、一律に評価するのは難しいが、少なくとも大会関係者は、弱いものいじめとも取れる事象に対する感覚をもっと研ぎ澄ますことが求められるだろう。
また、障害者をいじめたり差別したり虐待したりした経験のある者は、心の底から反省し、二度と同じような過ちをしないための具体的行動を示すことが大切であろう。
今回は、たまたまオリンピック・パラリンピックの準備段階で、いくつかの不適切な事象が明らかになってきたが、さまざまなイベントが計画される際には、弱いものをいじめるような行為はそのイベントの趣旨と決して相いれないことを、関係者は真っ先に肝に銘じるべきであろう。
愼 英 弘
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