タッチ・ザ・ワールド・フェスティバル
米良美一 トーク&コンサート ~世界の歌・日本の歌~
歌うことで、人々に愛される生き方ができる
冒頭、米良さんは「私もみなさんと一緒で、いろんなものを背負いながら生きております。今日、ビッグ・アイで歌えることを誇りに思います」と挨拶され、このコンサートに馳せた思いを語ってくださいました。
前半は、米良さんに生きることや命の大切さを教えてくれた「賛美歌」と、奴隷制度の中でもくじけずに生きた人々の「黒人霊歌」からのセレクション。米良さんは「私自身、生い立ちや病気のことを悔い、ネガティブに生きた頃もありましたが、これらの歌を通して、弱者ではなく人々に尊敬されるような人間になろうと決意しました」と話されました。
心の琴線にふれる日本の名曲
コンサート中盤、映画「もののけ姫」からテーマ曲「アシタカせっ記」を熱唱。誰もが知る名曲だけあって、会場では多くの方々が、米良さんの美声を映画の名シーンに重ね合わせているかのようでした。
続いて、「サッちゃん」「七つの子」などの童謡を歌ってくださいました。米良さんは「これらの歌を通して、日本の原風景や伝統的な生活を感じることができます」と紹介されました。
作品
終盤は昭和のヒット曲集でした。「四季の歌」「この広い野原いっぱい」「見上げてごらん夜の星を」など、日本が高度経済成長期にあった頃の歌謡曲です。米良さんは「この頃の歌を歌うと、私はいつもエネルギーをもらえるような気がします。この頃の日本を支えた諸先輩方に敬意を表しながら、これらの歌を次代に歌い継ぎたいと思います」と決意を述べられました。
最後は「今は何かと大変な時代ですが、すべての人の心に美しい花が咲くことを祈りながら」と、「花(すべての人の心に花を)」を熱唱。会場からは心からの拍手が響き渡り、即座に米良さんはアンコール曲へ。
「この歌の歌詞のように、私を育ててくれた母のことを思いながら、歌います」と「ヨイトマケの唄」を紹介され、切々と時折、力強く、まるで演劇のワンシーンのように歌唱してくださいました。
米良さんの美声と歌唱力を堪能した会場からは、大きな拍手がいつまでも続きました。
- 米良 美一
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【プロフィール】
宮崎駿監督作品「もののけ姫」で一世を風靡し、その類いまれな美声と音楽性で欧米でも高く評価されている。また親しみやすい人柄と個性豊かな語り口でテレビ・ラジオにも多数出演している。
洗足学園音楽大学を首席で卒業。96年よりオランダ政府給費留学生としてアムステルダム音楽院に留学。
05年シュレスヴィヒ・ホルシュタイン音楽祭に参加。
07年に自叙伝「天使の声~生きながら生まれ変わる」を出版し、これまでの人生から得た経験をもとに講演会も精力的に行っている。
09年宮本亜門演出「音楽劇・三文オペラ」に演劇初出演、多彩な役柄を演じ大絶賛を博した。
第12回日本ゴールドディスク大賞、第21回日本アカデミー賞協会特別賞として主題歌賞をそれぞれ受賞。