アジア・アフリカ芸術祭
民族音楽ふれあいロビーコンサート
アオ・ナガ族舞踊団
アジア・アフリカ芸術祭の初日は、ビッグ・アイの明るく開放的なエントランスにて、民族音楽ふれあいロビーコンサートが行われました。「ふれあい」という言葉通り、ステージと客席が近く、一体となって楽しめるコンサートになりました。
まず最初に登場したのは、インド北東部に位置するナガランドの少数先住民族、アオ・ナガ族舞踊団。民族衣装に身をつつみ、大きな羽根や派手なアクセサリーをつけ、手にはそれぞれ槍や珍しい楽器をを持った13人が現れると、その見慣れない様子に観客たちは少々とまどい気味。しかし、太古を思い起こさせるような躍動的な舞踊と、彼ら民族独特のうねりやこぶしで表現する戦いの歌や愛の歌に、だんだんと惹き込まれていきました。
日本の浄瑠璃や盆踊りと似ている発声や表現もあり、親近感をもって楽しんだ人も多かったのではないでしょうか。彼らの哀しみや喜びや願いの表現に、国や文化は全然違っても、人々の思いは同じなのだと感じさせられました。
最後は、客席からもたくさんの人たちがステージに上がって一緒に輪の中に入り、手をつないで回ったり、太鼓のリズムに合わせて元気に飛び跳ねたり、大きな声で歌ったり。会場全体が、すっかり、村の広場のお祭りに参加している雰囲気になりました。
ミン・ヨンチ韓楽団「韓国伝統音楽 舞踊」
次に、豪快な打楽器の音と共に入場してきたのは世界的に活躍するミン・ヨンチ韓楽団の5人。白と紺のお揃いの衣装で、それぞれに個性的な楽器を打ち鳴らす姿は、いきなり私たちの心をぐっと掴みました。
今回、披露してくださったのは、韓国に古来から伝わる四種の打楽器を使って激しく打ち鳴らしながら駆け回り踊る、伝統的な民族音楽サムルノリ。チャング、プク、チン、ケンガリの四種の楽器を「サムル」と呼び、「ノリ」は遊びの意。の現象をすべて表現できるとされているそうです。 チャングは雨、プクは雲、チンは風、ケンガリは雷。そう言われて聴いてみると、韓国の人々が自然と融合し、時には戦い、共に作り上げてきた力強い歴史を感じられるようでした。
力強い演奏や美しい歌声、そしてミン・ヨンチさんの楽しいお話などで盛り上がった後は、観客がステージに上がり、チャングを教わって一緒に演奏するワークショップも開催されました。客席にいるみなさんも、自分の膝を叩いたりして一緒になって独特のリズムを楽しんでいました。
サリヤ・カマラ「ギニア伝統音楽 ダンス」
この日最後に登場したのは、西アフリカの打楽器ジェンベの奏者・ダンサーとして活躍する、サリヤ・カマラを中心とする4人と、ダウン症のアーティスト・新倉壮朗さん。それぞれに打楽器をたずさえた、カラフルな衣装の個性的な面々が入場してくると、会場はパァーッと明るい雰囲気に。ステージや客席を自由に動き回りながらの楽しいダンスと陽気な歌声は、いつしか観客たちを巻き込んでいきました。身体が勝手に動き出すような打楽器のリズムにウキウキしたり、ダイナミックなパフォーマンスに圧倒されたり、心の奥底に響いてくるような音色にじんわりと聴き入ったり。
ジェンベを教わり体験できるコーナーでは、僕も私もと、小さなお子さんからお年寄りまで、たくさんの観客が次々とステージに上がり、初めてさわる楽器を存分に楽しんでいました。
最後のアンコールでもたくさんの人たちがステージに上がって踊り、客席のみなさんも見よう見真似で踊ったりリズムをとったりと、会場中が一体となって大盛り上がりでした。