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“Adventure for all” ビッグ・アイフォーラム2
「障がい者のための国際野外活動フォーラム」

セッション3 「長期のキャンプが成しえること」

筑波大学准教授 坂本 明裕氏

体験が体験となり、そして自信になる

悩みを抱える青少年と長期のキャンプ
通常、キャンプと言えば数日間ですが、坂本先生が実践しておられるのは18日間にも及ぶ長期のもので、このキャンプに参加するのは不登校や発達障がいなど、心理的な問題を抱える青少年。最大の目標は、彼らの心身を成長させることで、キャンプ終了後には参加者の心理的なケアも実施されているそうです。
この長期のメイン・キャンプは、毎年8月に17泊18日の日程で実施。筑波から富士山までの約400kmをマウンテンバイクで移動し、途中、沢登りやカヌーにも挑戦するそうです。また終了後の10月には1泊2日のフォローアップ・キャンプを実施。メイン・キャンプ後の心身の経緯などを語らいながら、参加者の心理的な成長を確認されているそうです。
このキャンプに参加するのは6名程度で、実施前のインテーク(面接)で、それぞれの参加者の心の様子を探っておくそうです。その際には「風景構成法」という手法で、参加者が描いた絵をもとに、心の有り様を推測されるそうで、坂本先生が実際に行なわれた風景構成法による絵を数点、見せていただき、特徴を解説してくださいました。

さまざまな野外体験が心を成長させる
後半はこれまでのキャンプの事例を引用し、参加者が心身ともに成長していくプロセスをお話しくださいました。
主人公はA君(中学1年、男子)。からかわれるとカッとなり、すぐに暴力をふるう問題児だそうで、母親からこのキャンプへの参加を勧められたそうです。
キャンプ1~4日目。はじめ緊張していた参加者ですが、ゲームなどをやってるうちに、次第に打ち解け、A君も少しずつグループに順応するようになっていきます。しかし5~7日目になると、それぞれの参加者が自我を見せ始め、仲間にからかわれたA君はカッとなり怒りを爆発。A君が失踪してしまう騒動となったそうです。
キャンプの8~13日目は、いよいよ富士登山に挑戦。マウンテンバイクで5合目まで登り、そこから7合目までは歩いての登山。A君の体力と精神力は限界に達し、次の日、8合目まで登ったところで登山を断念。ギリギリの体験の中で自信を失ってしまったA君でしたが、その後のマウンテンバイクの個人走やロッククライミングでは、自分で立てた目標を達成することができ、ようやく自信を取り戻せたそうです。
キャンプ終盤、14~19日目には「いかだ下り」や「沢登り」といったメンバーとの協力が不可欠なプログラムが用意されています。途中でメンバーとケンカをしたA君は、ひとりで行動しようとしますが、メンバーからの手助けもあって、最後にはメンバーと一緒にプログラムを遂行できたそうです。
キャンプが終わった4ヵ月後、ひとまわり身体が大きくなったA君と再会した坂本先生。A君から「キャンプを通して、みんなで気持ちをひとつにすることができた」、「今では学校で暴力をふるうことがなくなった。自分の態度が変われば、相手も変わると分かった」との言葉を聞いた際に、心はひとまわりも、ふたまわりも成長してくれたと実感されたそうです。


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