インタビュー
和代人平
「光と影の芸術祭」ステージプログラムの本番前、リハーサルを終えたばかりの和代人平さんに、ビッグアイの印象やご自身が考える「光と影」について、お話を伺いました。
光と影、両方あってこそ、世界が成り立つ
バリアフリーが整った施設は初めて
はじめに、駅からビッグ・アイまでの道にまったく段差がない、つまりバリアフリーだったことに驚かされました。ホールの中もそうでしたが、トイレがとても広いとか、車椅子でもスムーズに入れる自動ドアとか、さまざまなバリアフリーを初めて体験しました。
昨夜はビッグ・アイの宿泊施設に泊まったんですが、ベッドサイドで何でも操作できることも便利でした。一般的なホテルにあっても良さそうな設備がたくさんあったのですが、まだまだ障害のある人たちが暮らしやすい世の中になっているとは言えないのかな、と思いました。
オイル・パステルと光り絵、双方で描くことが幸福
僕は「オイル・パステル」っていう手法で絵を描いてるんですが、言ってみれば、これは「昼」の世界。一方、今日、みなさんにお見せする「光り絵」は「夜」の世界なんです。僕の中では「昼=光」「夜=影」なんですが、両方の世界で作品を創ることで、自分の世界観が成立していると思っています。
また、作品を創るってことは、幸福を創るってことだと思ってるんですが、オイル・パステルでは「昼の幸福」を、「光り絵」では「夜の幸福」を描いています。「昼と夜」「光と影」、どちらか一方しかないとしたら、それは幸福ではない。たとえば、昼の幸福が「現実」だとしたら、夜の幸福は「夢」になるかも知れませんが、両方があって初めて世界が成り立つんじゃないでしょうか。
会ったこともない誰かとコミュニケーションできるすばらしさ
絵を描くことは誰にでもできて、自由になれることです。絵は描いてる時は、自分のモノですが、描いたとたん、見た人のモノになるんです。たとえば、僕の絵を買ってくれた人が、それをどこかに飾って誰かとその絵について話をしたとしましょう。僕は作品を通して、会ったこともない誰かとコミュニケーションを取ってることになるんですよ。こんなすばらしいことはないと思っています。
ビッグ・アイではいろんなアートのワークショップがあるそうですが、何かを創るということは、作品が自分の手を離れ、誰かとコミュニケーションを取れる機会を創るということにもなると思いますので、ぜひ、みなさん、チャレンジして、ずっとずっとそれを続けていってください!
- 和代人平(わしろ じんぺい)
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【プロフィール】
オイルパステル画、パフォーマンスアートなど、幅広く作家活動を続けるアーティスト。
デザイナー/アートディレクターとして広告制作に携わった後、1987年の初個展をきっかけにイラストレーターとして独立。1988年、オイルパステルと出会い、以後、オイルパステル画を中心に創作活動を行う。
1993年、オーストラリア建国200周年企画展では、日本を代表してオーストラリアの画家ジョアンフック、ビギビラと合同展を開催。現在、日本で唯一のオイルパステル画家でもある。
その一方で、1989年、光を使って絵を描くライブペインティング「光り絵」を考案し、パフォーマンスアーティストとしても活動を始め、数々のアーティストとコラボレーションを行い、海外でも高い評価を得る。2009年、GLAYミュージックビデオ「春までは」では、TERU氏とコラボレーションを行う。
また初めての作詞「夢風」が、JAのCMソングドラマ主題歌に選ばれるなど、活動の幅を広げている。