インタビュー
増田太郎
ビッグ・アイ スペシャルステージでの本番を翌日に控え、前日リハーサルが終わったばかりの増田太郎さんに、リサイタルへの意気込みやビッグ・アイの印象などをインタビューしました。
「音」を通して、人々とのつながりを実感
さまざまな出会いを通して、表現できる喜び
さきほどリハーサルを終えたのですが、演奏をしていて、とても気持ちがよかったです。
本番を前にして、いつも思うのですが、音響や照明のスタッフのみなさん、このイベントを企画・運営してくださる方々、それに会場に足を運んでくださるお客さまなど、いろんな人たちの力に囲まれて演奏できる幸せが、僕にはあるんだなぁ、って。
ヴァイオリンの音色は楽器の中でもとても繊細だから、今日のリハーサルで演奏した音色と、明日、お客さんが会場に入ってこられた時の音色は、ずいぶん違って聞こえます。お客さまの衣服が、高い周波数の音を吸収するからです。
でも、その音色の違いがお客さんがそこにいるってことであり、温かさや優しさを実感できる瞬間なんです。だからリハーサルでは、そのことを考えながら演奏し、音色を作るんです。
何でもいいから、まずやってみることが大事
僕は小さい時から音楽をやってきたのですが体や心に障がいがあるみなさんの中にも、「自分を表現してみたい」と思うことがあるはずです。
とにかくチャレンジしてみたらいいと思います。やらない理由なんて、いくつでもあります。「見えないから」とか「聞こえないから」とか。でもやってみないと分からないことがあり、やって初めて分かることがあると思います。
僕は演奏活動を通して、いろんな場所に出向くことがあります。ここビッグ・アイもそうですが、これまで僕が演奏を続けてきたからこそ、出会えた場所や街、人たちや空気を大切に感じています。
2009年5月に、ニューヨークのセントラルパークで演奏してきたのですが、セントラルパークに集まった、4万人を超えるお客さんの反応は、それは素晴らしいものでした。言葉や国境を越えて、メロディーで僕の気持ちをストレートに伝えられた喜びを実感すると同時に、音楽をやってこられたことにも感謝しました。
居心地のよさの秘密を探してみたい
まだビッグ・アイに訪れたばかりですが、ステージで演奏していて、本当に気持ちがよかったです。またエレベーターの中に、手話でインフォメーションするモニターがあると聞いて驚きました。ほかにもホール内やホテルの客室内に、いろんなバリアフリー設備がそろっていると伺ったのでぜひ、居心地のよさ)の秘密を宝探しのように見つけてみたいですね。
- 増田太郎(ますだたろう)
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【プロフィール】
5歳よりヴァイオリンを始め、20歳で視力を失うが、「ヴァイオリンを弾きながら歌う」という独自のスタイルで音楽活動を展開。その生命力あふれる演奏がフジTV「とくダネ!」をはじめ新聞各紙に取り上げられる。楽曲「雲」がNHK「みんなのうた」で放送されたほか、普天間かおりさんに提供した楽曲「花星賛歌(はなほしさんか)」がテレビ東京系「美の巨人たち」のエンディングテーマに起用される。
ヴァイオリニストとして、森山直太朗さんの「手紙」(シングル「さくら」にカップリング収録)ほか、さまざまなアーティストのレコーディングやコンサートに参加。
2008年、作品「拍手の中に『笑顔』が見える」にて、「第6回オンキョー点字作文コンクール」(後援・厚生労働省、日本盲人福祉委員会、毎日新聞社社会事業団)グランプリを受賞。
2009年5月、「JAPAN DAY」招へいアーティストとしてニューヨークのセントラルパークにて演奏。
現在、レギュラーラジオ番組「増田太郎ミュージックシュタイン」(茨城・和歌山放送、ラジオ沖縄ほか)でパーソナリティーを務める。
CDアルバム「Present」、エッセイ「毎日が歌ってる」、好評発売中。
◆増田太郎 公式ホームページ
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