インタビュー
アグネス・チャン
~仲間が増える心強さ~
障害者にも使いやすい施設って、アメリカにも香港にもほとんどないんです。だから、Big‐Iのような施設がもっとたくさん増えていってくれたらいいなと思います。私たちにも便利ですよね。
今日、一緒にコンサートをさせていただいた新垣さんもそうですが、障害のあるアーティストがどんどん活躍されていますね。仲間がたくさん増えたなぁって本当に嬉しいんです。私たちが表現できるのは、自分が持っている範囲だけじゃないですか。障害があるからこそ私たちの気付かないことを知り、わたしたちよりうんと幅広い角度から表現できる人たちがいっぱいいますから、とても心強いです。それに、そのことによって解放される人がいっぱいいると思うんですよ。自分たちでは表現できないいろんなものを、同じ障害のある人が表現してくれる。それはその分、自由になれるということだと思います。
アートというのは、スピリットと心が大事だと思います。私もそうだったんですが、若いころは格好をつけることばかり考えて、本当に大切な心を忘れてしまいがちになります。アートというのは、心にある悲しみや嬉しさ、優しさなどを表現できるもので、障害のあるなしに関係なく、それを伝えるのがアーティストの役目だと思っています。
今年は、35周年ということで、来年までに100か所ほどでコンサートをします。特に、10月25日に北京の人民大会で、日中友好35周年を記念して開催されるコンサートは、私にとって意味あるコンサートです。中国の人たちに日本のことを知ってもらいたい、日本の人たちに中国のことを知ってもらいたいそして、好きになってもらいたいって本当に思っています。
- アグネス・チャン (あぐねす・ちゃん)
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【プロフィール】
香港生まれ。中学生の時に始めたボランティア活動で歌ったことが噂になり、香港で歌手デビュー。72年には「ひなげしの花」で日本デビューを果たす。85年の北京チャリティーコンサートの後、食料不足で苦しむエチオピアを取材するなど、芸能活動のみでなく、ボランティア活動、文化活動にも積極的に参加、エッセイスト、大学教授、日本ユニセフ協会大使として、芸能活動以外でも幅広く活躍中。