
今回の「演劇コース」は全5回の日程で行われました。まず演劇の中でも深津さんたちが携わっている「小劇場演劇」の歴史の概要説明に始まり、舞台上でのからだのリラクゼーションや発声する際の顔の筋肉の使い方、さらには演技の基礎訓練として、自分の記憶を柱にした物語づくりまで、演劇全般にわたって広く学ぶことができました。

特に「自分の記憶を言葉に、からだにおこす(表現する)」というトレーニングは、深津さんのドラマツルギー(作劇術)には重要で、参加されたみなさんは、課題となった「幸せな記憶」をもとに、これまで自分が体験したさまざまな事柄を思い浮かべながら、自分自身の言葉とからだで表現していきました。それぞれの「記憶」を語る表情にはいつのまにか「幸せ」が見えてくるから不思議です。
最終日には総仕上げで「銀河鉄道の夜」の1シーンを、2つのグループに分かれて演じてみることに。劇中にはトレーニングでやった「幸せな記憶」のセリフをひとり一人が話します。ニュージーランドでの体験や作業所で働く男性スタッフへの思い、連続ドラマのロケ地を訪れたことなど、参加者自身の幸せが客席にも伝わってくるようでした。

舞台を締めくくるのは全員の合唱。この歌は阪神・淡路大震災での体験をもとに深津さんが作詞されたもので、駅で電車を待つ人ともう死んでしまって電車に乗れない人という設定が「銀河鉄道の夜」につながり、「本当の幸せを探しに」という劇のテーマをより浮かび上がらせる合唱となりました。
5日間、参加されたみなさんは初めて舞台に立った人、再度このコースにチャンレンジした人とも、みんなの前で自分の思いや考えを力一杯に伝えるという、演劇本来がもつ魅力を十分に体験できたと思います。